突っ込んできた四季を私はカウンターで顔面に蹴りを叩き込む。

「げふっ!!」

その途端血と唾液を撒き散らして四季は吹っ飛んでいった。

「が、がはっ、何故だ!!何故なんだ秋葉!!俺がお前の本当の兄なんだぞ!!なのに・・・かぶっ!!・・・」

私はその台詞を最後まで聞かずに四季の鳩尾に肘鉄を打ち込む。

四季はまた吹っ飛ぶがその際に、血で作られた短剣が無数に渡って投げ付けられる。

しかし、私にそんなもの通用しない。

「奪われなさい・・・」

私は瞬時に檻髪を発動させた私は短剣を一本残さず灰に還す。

屋敷にあのアーパー吸血鬼となっちゃって女子高生が住み着いて以来私はあのお邪魔虫達と良く喧嘩する。

初めは遊びで付き合っているといった空気もあった二人であったが最近になると彼女達は結構本気で戦ってくれる。

皮肉な事にそれが私の遠野としての能力を開花向上させるきっかけとなっていた。

琥珀が言うには『やはり、実戦が一番ですね〜』とのことだ。

もう今では琥珀の感応のお世話にすらなっていない。

それだけ私の中の遠野を飼い慣らしているみたいであった。

「四季・・・貴方は外れた時に消えるべき者だったのです・・・ですから私が遠野の正式なる当主として貴方を消します!!」

もうそれで充分であった。

「ま、まて!!秋葉!!俺は!俺はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「全て・・・何もかも・・・略奪し尽して上げます!!!

私は四季の全方位に『檻髪』を発動させた。

その瞬間四季はもう叫び声すら挙げる事無く数秒で灰と化してしまった。







ロアの一撃を私は軽くかわす。

そしてすれ違いざま、私はロアの足にアリキック(志貴はローキックと呼んでいた)を叩き込む。

その瞬間、ロアの右足部分が完全に粉砕された。

しかし、ロアの足は直ぐに再生を始める。

だけど・・・そんなのは判っている事であった。

「はははっ。姫君よそのような者で私を滅ぼせると・・・」

次の瞬間私は一気にあいつの懐まで潜り込んでいた。

そして、その後は一方的というべきである。

私はこれ以上喋らせる気も無く、ロアにコンビネーションを叩き込む。

(へえ・・・志貴が言っていたけど技って効果的なんだ。ロアをこんなにも簡単に叩きのめせるなんて)

私は志貴の指導が正しかった事を今更ながら実感した。

志貴が紅摩と呼んでいた紅赤朱との闘いが終わった後私は志貴に技法と言うものを教わった。

最初は教わる気は無かったけど志貴が言うには

「お前の場合、力はあるけどその力を効率的に使いこなしていない。技を会得すれば俺が勝つ見込みはほとんど無くなる」

と言う事らしい。

そんなこんなで私は少し癪だったけどシエルと一緒にまずは人間同士の格闘技を見せられた。

志貴が言うには動きのパターンや攻撃方法を見ておけと言う事らしい。

その覚えたコンビネーションをしばらくしてから死者との戦闘で使ってみた。

直ぐに終わったのは以前と同じであったが疲れがほとんど無かった。

そういった実績もあり私は志貴から積極的にテクニックを学んで行く事になった。

こうして、三分ほど一方的に攻撃を叩き込んだ後そこには肉の塊と化したロアがいた。

「ば・・・・ば・・・・・・か・・・・・・な・・・・・」

呻く様に呟くながら肉体は再生を徐々に開始している。

「・・・ロア、徹底的に消してあげる」

そう呟くと空想具現化であるものを作り出した。

「これが何だか判っているわよね?」

「ま、ま・・・さ・・・か・・・」

「そう、亜空間の入り口よ、悔しいけど私は志貴みたいに魂まで完全に殺す事は出来ないわ。でもあんたをこの地に復活出来ないところに追放する位なら出来るわ。だからロア・・・あんたはこのまま消えなさい・・・未来永劫私の前から消え失せて!!!

その一言と共に私は亜空間にロアを放り投げた。

あたかもゴミを捨てる様に・・・







至近に迫った虎と野犬を火葬式典で貫く事で焼き尽くす。

それと平行して背後から襲い掛かってくる鷲を紙一重で交わしざまに黒鍵で切り裂く。

「ほう・・・代行者よ、戦法を変えたかな?」

「当然でしょう。私はもう不死の体ではないのですから」

そう、憎きロアが七夜君の手で滅ばされ私は不死の体を失った。

それから私は従来の戦法を改め、主に守りを主体とした戦法を試行錯誤する様になった。

その為に七夜君に七夜一族の歩法や気配の完全な消し方を教わり、防御を主体とするようになった。

もちろん攻撃のバリエーションもただ黒鍵や、セブンを投げつけるだけでなく、こちらも戦法を変えていく様になった。

「セブン!!」

その声と共に私の手に第七聖典が現れる。

しかし、ネロ・カオスは唇を吊り上げて嘲る様に笑った。

「はははっ何を出すかと思えば・・・威力はあれども単発で我らを消せると思っているのか?」

それに私は逆に嘲笑い返す。

「もちろんこれで貴方を消せるとは思いません。ですがこれならどうですか?・・・モードチェンジ!!『グラスパーモード』!!!」

その瞬間、第七聖典は私の手で形を変えていく。

そして・・・現れたのは、戦闘機に取り付けるバルカン砲とも呼べる代物・・・第七聖典、瞬間制圧形態『グラスパーモード』。

今までの絶殺形態『パーフェクトモード』に比べ一発一発の威力は落ちるが『グラスパー(支配)』の名の通り、一秒間に二千発叩き込む事で敵を瞬殺する。

その威力は『パーフェクトモード』に引けをとらない。

セブンを強引に拘束して大改造を施した甲斐があったと言う物だ

「な、なに・・・?」

ネロ・カオスの表情が焦りに満ちる。

この様な事は考えていなかったのだろう。

当然と言えば当然であるが、敵を侮った報いは・・・死と相場は決まっている。

『グラスパー』の銃身がゆっくりと回転を始め、私は腰を落とし衝撃に備える。

獣達が一斉に襲い掛かろうとするが・・・もう遅い。

次の瞬間、轟音と共に支配の弾丸が縦横無尽に走り、獣を蜂の巣としていく。

十秒後、射撃を終えると、そこには獣はことごとく粉砕され、全身をぼろぼろとされたネロ・カオスだけが、ただそこに立っていた。

「ぐ・・・ぐううううう・・・・」

私はゆっくりと近付く。

今度は『パーフェクトモード』に第七聖典を戻す。

すると、ネロの体が変貌を遂げる。

なるほど、七夜君の時と同じく、自分の体内の獣を一つの凝縮して自身を強大な獣にする気ですね。

ですが、やられ過ぎたのかその力は微々たる物ですか・・・

突進してきたネロの攻撃をあっさりとかわすと体の中心部に迷い無く発射した。

「死徒二十七祖第十位ネロ・カオス、神の名の下に断罪します」








戦いが始まり一時間は経過しただろうか。

戦いの行方は・・・余りにも一方的なものだった。

最初に決着が付いたのは秋葉だった。

四季の『血剣』の能力をことごとく略奪し尽くすと一瞬で四季をこの世から消去してしまった。

「・・・秋葉の奴、もう琥珀さんの力を借りなくてもあそこまでできるのか・・・」

「はい、志貴さんが出かけている際にはいつもアルクェイドさんやシエルさんと実戦の訓練をされてますから」

「姉さん違います。正確にはアルクェイド様方と喧嘩です」

「・・・どちらにしろ、それなら強くなるはずだ・・・」

実戦慣れしている俺から見ても今の秋葉の戦いぶりは十分合格点をやる事が出来た。

自身の能力をでたらめに振るう事無く、的確にダメージを与え、最後の段階で略奪を行い、止めを刺す。

四季が秋葉を相手にしている為に力を出し切れなかったと言う点を考慮しても秋葉の実力が三年前に比べ遥かに上がっている事が伺えた。

その次に勝負がついたのはアルクェイド。

こちらに関しては何も言うことは無かった。

余りにも圧倒的な力の差に加えて、力の効率的な使い方を覚えたあいつにもはや、ロアは敵ではなかった。

ロアに反撃の機会すら与えず、ただずたずたにして最終的には、空想具現化で完膚無きまで崩壊させた。

・・・今度からあいつはあまり怒らせないでおこう。

ほぼおなじ時間で先輩も勝負をつけた。

まさか・・・六百六十六匹の獣ごとネロを第七聖典の速射・・・というか、形態まで変えて抹消させるとは思わなかった。

そう言えば不死の身体でなくなってから自分の戦闘法を変えると言っていたな。

「私は遠野君みたいに生きて勝つと言うやり方にまだ慣れてませんから」

そう言ったのは俺がまだ遠野の姓を名乗っていた時だったな・・・

その言葉通り、先輩は自身の黒鍵・第七聖典を有効に使う方法を色々と試行錯誤する様になっていた。

今では三人とも退屈そうにしながら最後の空間での戦いを余裕を持って見ている

そう、沙貴と軋間・弓塚との戦いは未だ決着が付いていなかった。

沙貴の実力が二人より劣っているのではない。

弓塚と軋間のコンビが意外な程、息が合っているのだ

沙貴が一方に攻撃を加えようとすればもう一方が隙を見て攻撃に入る為、沙貴は防御重視の戦いを強いられ、早期決着が出来ないのだ。

しかし、沙貴の有利に戦いが進んでいるのは間違い無かった。

軋間の表情に焦りと苛立ちが明らかに表れ、弓塚の動きも不安定になって来たのだ。

そして同時に二人の動きが力押しになり始めた。

しかし、それはまずい兆候だった。

いままではどうにか沙貴が一対一の場面をどうにか作り出していたが、二人が強引に攻め込む体勢になった以上、何とか一人を仕留めないと最終的には押し切られる。

沙貴もそれを肌で感じ取ったのだろう、唇を噛むと、弓塚に標準を絞ったようだった。

軋間を牽制しつつ、強引に弓塚の間合いに入り込み攻撃に移ったのだ。

しかし、弓塚はにやりと笑いながら、跳躍し、その攻撃をかわした。

その後ろには軋間の魔手が沙貴を木っ端微塵にせんと迫っていた。

「沙貴!!!」

とっさに俺はそう叫んでいた。

しかし、次の瞬間俺は次の光景に目を疑った。

沙貴の体全体をあの『破壊光』がくまなく覆い、軋間の右腕を粉々に砕いてしまった。

「・・・この技だけは使いたくなかった」

いまや闇の塊と化した沙貴はポツリと呟いた。

「私が『破光の堕天使』と呼ばれる様になった所以の技『黒天使』・・・志貴兄様の前でだけは使いたくなかったのに!!!」

台詞の後半からは沙貴には珍しく自分の感情を爆発させる様に叫ぶとそのまま軋間目掛けて飛び掛かった。

文字通り『黒い流星』と化して・・・

しかし、俺にはそこから黒い天使の羽が見えた気がした。

軋間はとっさに残る左手で受け止めようとしたが、それをも粉々に砕くと、何の抵抗無く軋間を貫いた。

しかしそれはひどく現実感からは乏しい光景だった。

『破壊光』は血液すら崩壊させるのか、砕かれた両腕、そして身体の中心に開いた風穴からは一滴の血すら出さず、むしろ石膏の彫刻が壊された様に粉の様なものをぱらぱらと零している。

しかし軋間のその表情は恐怖にこわばっていた。

更に沙貴はいつの間にか『破壊光』を両手だけに戻すと、頭から胴・腰・足と破壊し尽くしてしまった。

その凄まじい威力に全員無言で沙貴を見ていた。

沙貴も悲しげに俯いていたが、弓塚の声が俺達を現実に引き戻した。

「待っててね!!志貴君」

その声に全員がはっとした。

「沙貴!!くる・・・なっ!!」

弓塚のその声に沙貴に注意を促そうとした。

しかし、次の瞬間俺は絶句した。

俺のいる空間に弓塚が入り込んだ。

何時の間にか障壁の一部が消え落ち、そこから弓塚が俺達のいる空間に侵入を果たしたのだ。

「どう言う事!!これは!」

「ははは、軋間紅摩が倒れた事により、障壁が消えたようですね」

「何言っているのよ!!まだもう一人残っているじゃない!!」

「はて?私は『奪おうとする者が倒れれば障壁が消える』と申した筈ですが」

「まずい!!!」

迂闊だった。

それはつまり、どんなに全員、勝ったとしても敗れたとしても風鐘は初めから俺を確実に仕留める為にこの様な障壁で皆の行動を制約していたのだ。

現に弓塚が進入したと同時に障壁は元に戻ってしまっている。

いや、今まで開放されていた他の障壁までもが塞がり何時の間にか空間には俺一人で皆障壁によって分断されてしまっている。

「志貴君!!今度こそ私の傍にいて!!」

その言葉と同時に弓塚の攻撃が俺を貫こうとした。

「「「「「「志貴(七夜君・兄さん・様・さん・さま・兄様)!!!!」」」」」」

全員の絶叫が響き渡る。

しかし、俺はそれをとっさにかわすと『凶断』で受け止め『凶薙』を振るう。

皆が四つの戒めを打ち破ってくれたおかげだった。

まだ、身体に鉛をつけた様に重いが、まだ何とかなる。

しかし、斬撃にいつものきれは無い。

弓塚はそれをたやすくかわし、俺と距離を置く。

しかし、俺は更に追撃として、『凶断』を構え、散弾銃のイメージをはじき出す。

その瞬間『マシンガン』より更に細かい妖力の弾丸が、周囲に撒き散らされる。

「きゃあ!!」

流石にあそこまで隙間無く打ち出されれば避け切れなかった弓塚の悲鳴が聞こえる。

弾き飛ばされた弓塚と、『ショットガン』の反動によって後方に飛ばされた俺との間隔は更に広がった。

「な・・・ん・・・で?」

弓塚は呟く様にそう言った。

「なんでなの?・・・志貴君?・・・なんで!私と一緒にいてくれないの!!!」

最後には全てを吐き出す様にそう絶叫していた。

「・・・弓塚・・・」

俺は一瞬躊躇った。

あの時言ったあの言葉を再び言っても良いのかどうか・・・しかし、選ばなくてはならないのなら・・・

「弓塚・・・きっと二度目だと思うが・・・あえて言うよ。俺は・・・君と一緒に行けない・・・もう俺は遠野志貴じゃない・・・七夜志貴なんだ。君の様な魔を打ち滅ぼす・・・退魔士七夜志貴なんだ」

その瞬間弓塚の動きが一変した。

文字通り、一人の人間を殺す為の動きに。

「死んじゃえ・・・死んじゃえ・・・あんたなんか・・・私のものに・・・ならないあんたなんか・・・さっさと死んじゃえ!!!!」

何時の間にか眼は真紅に染まり、純粋な殺人衝動に従い弓塚はその力を全開にして俺に襲い掛かる。

俺はかろうじてそれをかわし、時には『凶断』・『凶薙』で受け止め、流し、攻撃を加える。

しかし徐々に押され始める。

弓塚一人分の戒めがここに来てじわじわと俺の身体に圧し掛かる。

その為、徐々に、弓塚に遅れをとり始めた。

ビリッ!弓塚の爪に上着が引き裂かれる。

幸い、皮膚まで到達していないが、あと一歩踏み込まれれば危なかった。

「くそっ!!」

俺はとっさに『凶断』で斬りかかると、『凶薙』からは竜を放出させる。

しかし弓塚はそれを容易くかわす。

戒めの所為で具現化能力にまで影響が出ているのか?

威力もスピードもいつもに比べ格段に落ちている。

更に、放出でよろめき、隙となった所に弓塚が俺の懐に入り込み一撃を加えようとする。

反射で、『凶断』・『凶薙』を交差させ、受け止めるが、握りが甘かったらしく、弓塚の攻撃を受け止めきれず、『凶断』・『凶薙』が俺の手から離れ、後方に突き刺さる。

更に、弓塚の追撃を食らった俺も後ろに吹っ飛ばされ、仰向けに倒される。

そこに弓塚が馬乗りになる。

「ふふふふ・・・志貴君もう逃げられないよ。さあ!今度こそ私のものに・・・」

弓塚がゆっくりと右腕を振り上げる。

その瞬間世界が白黒になり色が消えていく・・・

「志貴!!!」アルクェイドが叫ぶ。

ドクン・・・オレハシヌノカ?

「七夜君!!」先輩の声が聞こえる。

ドクン・・・コレデイイノカ?

「兄さん!」秋葉が俺を呼ぶ。

ドクン・・・マダシネナイダロウ?

「志貴様!!」翡翠が呼びかける。

「志貴さん!!」琥珀さんも必死に俺を呼ぶ。

「志貴さま!!」レンもそれに習う。

ドクン・・・ナゼシネナインダロウカ?

ドクン・・・ソンナコトキマッテイルダロウ・・・

「兄様・・・兄様!兄様ぁ!!やだやだ!死んじゃあやだぁぁぁぁぁ!!」

沙貴の絶叫が俺の耳を叩く。

ドクン・ドクン・ドクン・ドクン・ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク・・・・・・

ソレハナ・・・オマエハ・・・・・・ダカラダヨ・・・・七夜!!!!

その瞬間、カチリと何かがはまった様な・・・・いや、どちらかと言えば鍵が外れる様な音が聞こえ、俺の視界から線も点も・・・何もかも消え失せ、ただの暗黒が広がり・・・何か種火の様な点が至る所に現れた。

俺は自分の目を疑った。

すると、突然、悪意を感じた俺が見たのは徐々に近付く点だった。

それをとっさに何も疑問も感じずそれを指で貫き指を引き抜いた瞬間それは消した・・・

それと同時に俺の視界が唐突に開け、そこには、右腕のあった箇所を押え、

「や、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

気が狂った様に何かを探す弓塚がいた。







それは酷く幻想いや悪夢に類する現象だった。

アルクェイド達は今まさに目の前で行われようとしている志貴の最期を眺める事しか出来なかった。

そして、

「一緒になろうね!!志貴君!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

弓塚さつきの歓喜に満ちた声と七夜沙貴の悲鳴が重なった瞬間それは起こった。

弓塚の右腕が振り下ろされ志貴を貫こうとした時、志貴は何の変哲も無く弓塚の右手の掌を人差し指で貫いていた。

そして、それを引き抜いた時、・・・弓塚さつきの右腕は肩口まで消滅した。

そう・・・切り落とされたのではない。

ぼろぼろに砕けたのでもない。

それは、まるではじめから無かったように消え去ったのだ。

そんな光景を目の当たりにした彼女達の呆然とした耳に七夜風鐘の声だけが響いた。

「これは・・・到達したのか?・・・」











技解説

『ショットガン』・・・

『凶断』の具現化能力。

散弾銃をイメージして、妖力を放出する。

威力こそ弱いが、その有効範囲は驚異的広さを持ち、『凶薙』の『散降臨』に類する足止め防御用の技と思われる。






『黒天使』・・・

沙貴の『破壊光』の能力を最大限に発動させた時のみ使用可能となる沙貴の中では最強の技。

全身に『破壊光』を身にまとい相手に突撃を掛ける志貴の『鳳凰』に酷似する技。

その威力は『鳳凰』に匹敵すると言われその姿はまさしく堕天使と呼ばれるに相応しい。

ただし、沙貴本人はこの技をことの他忌諱している。

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